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雑誌文献

臨床婦人科産科34巻2号

1980年02月発行

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トピックス

習慣性流産と染色体異常

著者: 田部井徹1

所属機関: 1国立病院医療センター・産婦人科

ページ範囲:P.117 - P.117

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 自然流産児の染色体異常の発生頻度は,流産の時期によって異なり,妊娠月数が進むにつれ減少する。妊娠初期における頻度は50%前後であり,自然流産率が15%であるから,妊娠初期胎児の約8%が染色体異常を有することになり,生産児にみられる頻度0.7〜1.0%に比べると著しく高率である。異常の種類は生産児にあまりみられない数の異常が主で,トリソミーが最も多く約50%を占め,ついで45,Xの20%,三倍体の10%,構造異常の5%以下の順である。興味深いことは,一般に常染色体トリソミーを有する胎児は極めて強度の発育障害を示し,妊娠初期に流産してしまう傾向がある。しかし,G—トリソミーは初期流産の頻度が高いとはいえ,生産児として出生してくる可能性があり,この場合ダウン症候群の児になることはよく知られている。さらに,性染色体異常としての45,X (ターナー症候群)は47,XXY (クラインフェルター症候群)に比べて頻度が高いが初期に流産しやすい。
 以上のごとく,自然流産児の染色体分析は数多くなされているが,流産児とその両親の核型分析を同時に行なった研究はあまりない。Kajiiら1)は,流産児310名と両親783名の核型分析を行なったところ,11名の児と6名の両親の構造異常を認め,さらに親が均衡型転座を有する流産児は全て不均衡転座を受けついでおり,このことが流産の原因になっていると指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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