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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科34巻3号

1980年03月発行

文献概要

臨床メモ

hPLが検出されない正常妊娠

著者: 貝原学1

所属機関: 1東京大学医学部付属病院分院産婦人科

ページ範囲:P.223 - P.223

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 妊婦血中のhPL (human placen—tal lactogen)値は妊娠の経過とともに増量し,妊娠末期にピークに達する。このホルモンは胎盤で合成され,胎児の発育にとって必要な,いわば胎児の成長ホルモンとも考えられるものであるが,その生理的意義についてなお不明な点が多い。ところが最近,血中のhPL値が極端に低値か,あるいは全く検出されない妊娠でも正常な妊娠経過をたどり,正常な児を分娩した例が2例報告されており,hPLの生理的意義について興味ある問題を提供している。
 最初の報告例は1978年にデンマークで経験された症例である。これは27歳の初産婦で,妊娠35週以降に血中hPLが測定されたが,その値は0.4〜O.6μg/mlと極端に低値を示した(正常値は5μg/ml以上)。それにもかかわらず,分娩予定日に3,800gの男児を経腟分娩したが,児には全く異常は認められず,胎盤の重量は620gで肉眼的にも組織学的にも正常であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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