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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科34巻7号

1980年07月発行

文献概要

トピックス

産婦人科領域におけるβ—endorphin (END)の意義

著者: 田部井徹1

所属機関: 1国立病院医療センター,産婦人科

ページ範囲:P.538 - P.538

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 Endorphinesとは,生体内のmor—phine受容体と結合して,鎮痛鎮痙などmorphineとよく類似した生理作用を示す活性ペプチドを総称し,その語源は,内因性(endogenous)のモルフィネ(morphine)に由来する。
 Endorphinesには5種のペプチドが含まれるが,中でもβ—endorphin(以下END)が最も強いmorphine様作用を有する。Β—ENDのアミノ酸配列は,脂肪分解ホルモンであるβ—lipotrophin (以下LPH)の部分構造を示し,31個の環状アミノ酸より成っている。β—LPHはACTHと同一の前駆物質から下垂体において生成される。ACTHあるいはβ—LPHの分泌が亢進するとβ—END分泌も亢進し,末梢血中濃度は上昇する1,2)。β—ENDは,下垂体に大量に存在するが,ACTHと同様下垂体のみでなく視床下部においても生成される。また,一般に髄液中に存在するβ—END濃度は,末梢血中より高いが,持続性疼痛患者の髄液中濃度は低下している。しかし,下垂体,髄液中または末梢血中に存在するβ—ENDの生体内における生理的な意義に関しては,十分解明されていない。β—ENDは,morphineと分子構造は異なるが,鎮痛,鎮痙,精神神経あるいは下垂体調節などmorphineとよく類似した生理作用に関与していることはまちがいないであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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