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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科34巻9号

1980年09月発行

Modern Therapy 新生児脳障害の初期管理

核黄疸

著者: 川出登1 大西鐘寿1

所属機関: 1名古屋市立大学医学部小児科学教室

ページ範囲:P.689 - P.696

文献概要

Ⅰ.核黄疸の基礎
1.核黄疸の発生機序
 間接型高ビリルビン血症に伴い,ビリルビンが脳基底核に沈着し,それによりひき起こされる脳障害に対して核黄疸という名称が使用されている。その発生機序として,当初は,ビリルビンがミトコンドリアの電子伝達系,酸化的リン酸化を阻害することによると説明された。しかし,その後の研究によりこの説には否定的な意見が多く,最近ではビリルビンと生体膜との相互作用の面からビリルビンの細胞毒性が追求されている1)
 ビリルビン分子の立体構造はBonnettら2)により,図1に示すように分子内水素結合を形成してすべての極性基を分子の内側に閉じ込めた,きわめてcompactな.形をとっていることが明らかにされた。この立体構造が示すように,ビリルビン分子は,極性基がすべて分子の内側を向き外側には出ていないゆえ,通常の条件下では水にはきわめて不溶であり,0.1M,pH7.4のリン酸緩衝液に対する溶解度は,7nMと報告されている3)。一方ビリルビンは,ganglioside4),sphingomyelin,phospholipid5)の溶液中ではこれらの脂質と結合して複合体を形成し,sphingomyelin溶液中では4×106M-1,dipalmitoylphosphatidylcholine-choleste-rol混合溶液中では1.4×106M-1という強い結合定数を有するという5)。またビリルビン・アルブミン溶液中でも,ビリルビンとアルブミンのモル比が1以上では,ビリルビンは,phosphatidyl-cholineと容易に凝集を起こし,さらにこの凝集は酸性条件下で一層促進される3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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