icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科35巻10号

1981年10月発行

Fetal Monitoring講座 基礎から臨床応用へ

XII.母体情報—内分泌

著者: 桑原慶紀1 小山照夫1

所属機関: 1東京大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.739 - P.744

文献概要

 ハイリスク妊娠においては,胎児がいかに良好な状態で分娩にいたるかどうかによって児の予後は大きく左右される。すなわち,妊娠中の適切な母児の管理が重要であり,そのためには,できるだけ多くの胎児情報を得て胎児の状態を正確に把握する必要がある。しかし子宮内胎児から直接採血採尿することが現時点では不可能であるため,結局は母体の血液,尿あるいは羊水に現れる内分泌面の変化で,胎児の状態を良く反映するものを選んで内分泌的胎児情報としている。現在用いられている胎児胎盤系の内分泌,生化学的機能検査は多数あげられるが(表1),臨床的に広く利用されているのは母体尿中のエストリオール(Estriol,E3)と母体血中のhPL (human placental lacto—gen)の測定である。
 優れた機能検査である条件としては,正常値域が狭く,異常値をもつ症例が高率に児の異常を示し,しかも正常値域内の症例には,異常例が含まれないことが必要である。さらに,臨床的有用性の面では,胎児に生じる異常に産科医が対応しうる段階での情報でなければならない。すなわち,子宮内胎児死亡が発生してから異常値を示す検査では意味が少なく,検査時における胎児の状態のみでなく,ある程度胎児の予後を反映する検査が望まれることになる。胎児胎盤機能検査として,以上の条件を満たす検査は現在はなく,それぞれの有用性と限界を認識し,他の胎児情報も加えて総合的に胎児の状態を判定する必要がある。ここではE3とhPLを中心に述べていくことにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら