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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科35巻10号

1981年10月発行

文献概要

トピックス

IUDからの抗フィブリン溶解物質の放出による月経出血量の減少

著者: 広井正彦1

所属機関: 1山形大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.756 - P.756

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 IUDを用いている婦人では月経時の出血量が多いことが知られている。この原因としてIUDが子宮内膜を刺激するために,子宮内膜に存在するフィブリン溶解物質を放出するためであると考えられている1,2)。このために正常時に比してIUDを挿入することにより子宮内膜のホモオスタジス機構が障害され,月経血が増加することになる。
 したがってIUDを挿入する際に抗フィブリン溶解作用物質を用いることにより,フィブリン溶解活性の過度の放出をおさえ,IUDに基づく過度の出血を減少させることができると考えられる。このフィブリン溶解作用はplasminogen activator やplasminogen,plasminなどより成り立っている。そこでこれらの物質の産生を抑制することにより,IUD挿入時の過多月経を抑制することができる。このような抑制物質としてすでにε—aminocaproic acid(EACA)とtranexamic acid (trans—4—(aminomethyl) cyclohexanecar—boxylic acid (AMCA)が知られ,これを経口または経直腸的に投与すると,過多月経の患者でも月経血を減少させることができる。しかし,月経量を減少させるために大量の投与が必要となり,めまい・嘔気・下腹痛などの副作用をともない実用にはあまり用いられない傾向にあった3,4,5,)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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