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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科35巻11号

1981年11月発行

文献概要

Modern Therapy 母乳

未熟児保育と母乳

著者: 山内逸郎1

所属機関: 1国立岡山病院小児医療センター

ページ範囲:P.809 - P.814

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 Ⅰ.歴史の流れの中で
 未熟児保育の長い歴史の中で,現在ほど人乳の価値が強調されたことはこれまでなかった。かつては人工栄養との対比において,人乳栄養の未熟児保育における価値について,熱っぽい論議が繰り返された時代もあった。その論議の焦点が,「人乳と人工乳との組成の粗略化学的比較論」に終始していた頃である。
 しかし現在では事情は大きく変わった。「未熟児は人乳で育てよう!」という声が,最も大きく叫ばれ始めたのは,ほかでもない米国からである。数年前まで,あれほど人工栄養一辺倒だった米国の母乳率が,どの州でも1)明らかに上昇してきた。「流れは変わった」のである。これまでになかった新しい動きが,実際におこりはじめたのである。そのこと自体について論じようというのではない。しかしそのような情勢ならばこそ,「未熟児は人乳で!」と叫ばれ始めたということは,まことに理の当然なのである。その変わり身の早さたるや,いささかアッケにとられるほどである。何しろ十年前までは,未熟児の人乳栄養のことなど誰れも口にしなかったのだから,何とも不思議な気持さえしてくるのである。こうして1978年のJ.Pediatr.には,「人乳銀行の見通し」という題で,HelsinkiのSiimensら2)の論文が掲載された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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