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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科35巻3号

1981年03月発行

文献概要

指標

利尿剤と妊娠中毒症—利尿剤は妊娠中毒症の治療薬として不適当か

著者: 須藤寛人1

所属機関: 1新潟大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.149 - P.158

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 利尿剤は私達の日常の産科診療において,もっとも頻回に処方される薬の一つであろう。歴史的にみると何らかの利尿剤が,子癇患者に対して使用されてから1世紀が経ており,サイアザイド利尿剤が妊娠中毒症の治療薬として登場して以来25年以上が経ているそうである3)。妊娠中毒症に対する利尿剤の有効性に関する論文を数えたら,世界中で恐らく何百という数にのぼろうかと推察される。
 しかし,利尿剤が妊娠中毒症の治療薬として有益であるといえるであろうか?「利尿剤はもはや,当大学では1970年より使用していない。」というYale大学産婦人科のKase主任教授の講演を著者が聴いたのは1972年であった。著者がレジデントを行なったニューヨーク医科大学では,1974年頃より利尿を妊娠中毒症の治療薬として使用しなくなった。1978年に出版された成書,Chesley著「Hypertensive Disorders in Pregnancy」に至っては「妊娠中毒症の治療薬として利尿剤はcon—traindicationである。」と明記されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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