文献詳細
指標
HCG-Carboxyl-Terminal Peptide抗体の作成とその臨床応用
著者: 松浦脩治1 大橋正伸1 東條伸平1
所属機関: 1神戸大学医学部産科婦人科教室
ページ範囲:P.233 - P.242
文献概要
一方hCGは他のhLH,hFSH,hTSHなどの下垂体由来のゴナドトロピソと同様,α,βと呼ぼれる二つのsubunitよりなる糖タンパク質である。α-subunitはこれらのホルモンの間でほとんど同じ一次構造であるが,β-subunitはホルモンに特異的な活性を担った部分で一次構造も異なると考えられている。しかしその中でhCGとhLHは類似した生物活性を示し,β-subunitの一次構造も互いによく似ている。そのために抗hCG抗体は全くhCGとhLHを区別できず,また現在最も特異性が高いとして広く使用されている抗hCGβ抗体といえどもhLHとの交差性から完全に逃れることは不可能である。ところが興味あることにhCGのβ-subunitには,そのカルボキシル末端にhLHには存在しない特異的な約35個のアミノ酸残基(carboxyl-terminal peptide=CTPと略)が存在することがわかった1)。図1はhCGとhLHのβ-subunitの一次構造を示したものである。もしこの部分に対する抗体を作ることが可能であるならば,それはhLHとは全く交差しない新しいRIA系の確立が期待された。ここではわれわれの研究をもとに抗hCGβ-CTP抗体の作成,特異性の決定などについて述べ,またその臨床応用という立場から最近の進展について述べてみる。
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