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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科35巻6号

1981年06月発行

症例

前置血管破裂の1例

著者: 中村幸夫1 竹内泉1 白取秀世1

所属機関: 1弘前大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.447 - P.449

文献概要

 前置血管(Vasa previa)は非常にまれで,しかも胎児の予後が不良な産科合併症であり,臍帯卵膜付着の一種で,卵膜付着に際して臍帯や胎盤組織によって支持されない臍帯血管が,内子宮口を覆う卵膜上を横切って走行する状態と定義されている。臍帯卵膜付着についての最初の記載は1773年のWrisbergであり,1801年にLobsteinが卵膜付着と胎児死亡をもたらす出血との関連にはじめて注目してから,1952年までに100例たらずの前置血管の症例が報告されているにすぎない1)。また,Vago,et al.2)は19、330例の分娩中7例,Paulino3)は約50,000例の分娩中6例の前置血管に遭遇したとしている。
 最近,私たちは,分娩直前に大量の性器出血を主訴として来院した40週の妊婦が,すでに胎児死亡をきたしており,分娩後の検索により前置血管の破裂を確認できた症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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