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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科35巻8号

1981年08月発行

トピックス

妊婦の飲酒と胎児性アルコール症候群

著者: 田部井徹1

所属機関: 1自衛隊中央病院産婦人科

ページ範囲:P.585 - P.585

文献概要

 妊娠中における母体の飲酒が胎児に何らかの影響を及ぼすことはよく知られている。アルコールの分子量が600〜1,000であり,容易に胎盤を通過し,また胎児血のアルコール濃度が母体血の濃度とあまりかわらないため,妊娠中に母親が飲んだアルコールが,胎児の発育過程に影響しやすいためであろう。
 Lemoine1)やJohnes2)は,慢性アルコール中毒の妊婦から精神異常,発育遅延,小頭症,関節異常あるいは手掌紋の異常など,共通の臨床像を示す異常児が出生しやすいことを報告し,胎児性アルコール症候群(fetal alcohol syndrome)と命名した。以来,世界各国から同様な症例が多数報告された。しかし,胎児性アルコール症候群の発生機序は全く不明である。Jones3)らによると,慢性アルコール症妊婦の周産期死亡率は17%であるが,出生児の32%が胎児性アルコール症候群を示し,また44%の出生児に何らかの精神異常が認められたという。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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