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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科35巻9号

1981年09月発行

Modern Therapy 産科におけるダイナミックテスト

胎盤のダイナミックテスト

著者: 矢内原巧1 高水松夫1 石田珠明1 中山徹也1

所属機関: 1昭和大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.639 - P.644

文献概要

 胎児は胎盤を介してその生命維持や発育に必要なすべてを依存している。したがって胎盤機能は胎児の生存と密接な関係をもち,その機能を知ることは産科臨床上きわめて大切なことは論をまたない。胎盤または胎児—胎盤系の機能検査法としては表1に示すごとく多種考案実施されているが,この中でいわゆるダイナミックテストとしてはPSP胎児負荷試験,オキシトシンチャレンジテスト(OCT),ネオシネフリン(ネオシネジン)テスト,DHA-S (dehydroepiandrosterone-sulfate)負荷試験などがある。ダイナミックテスト自体の目的は,いずれも胎児または胎盤の予備機能をみるものであり,fetal distress発生の予知診断法であるといえる。PSP負荷試験は胎児の排泄機能と胎盤通過性検査であるが,その実施には薬剤の胎児への直接投与による胎児損傷の危険を含み現在ではあまり用いられない。OCT,ネオシネフリンテストは,Oxytocin投与による一過性の子宮収縮,ネオシネフリンによる末梢血管の収縮などにより子宮胎盤血流量を減少せしめ,これによる胎児のhypoxiaに対する反応性を検する方法で,いずれも胎児の予備力検査法である。したがって本稿では胎盤のダイナミックテストとしてDHA-S負荷試験をとりあげ,その背景にある胎児—胎盤—母体系でのステロイド代謝機構を概説するとともに本法の実施法と判定規準を自験を中心に述べたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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