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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科36巻1号

1982年01月発行

臨床医のプライマリケア 産婦人科プライマリケア

プライマリ ケアとは—概念と教育の実際

著者: 柴田進1 田野吉彦2

所属機関: 1川崎医科大学 2川崎医科大学総合診療部

ページ範囲:P.35 - P.38

文献概要

Ⅰ.アメリカのPrimary Care誕生の背景とわが国の現状
 アメリカでは第二次大戦以後,専門医学が急速な進歩を遂げ,専門医に対する世間の評価も高くなり多くの特権も与えられたため,1960年代には医学部卒業生の80%が専門医志向となり,GP(General Practioner)または,Family Practiceとして働く医師は,1932年では全体の医師の85%であったのが,1972年には23%に減少していった。しかし,必ずしも専門医を必要としない内容の医療が全体の80%を占めており,専門医が開業した場合でも,専門的な疾患のみ扱うわけでもなく,専門以外の一般的な疾患を扱う場合も多かった。ところが専門医は,一般的病気に対する知識や研修が十分でないため,GPとして果たす役割りは必ずしも十分とはいえなかった。そのため,アメリカ連邦政府は専門医制度が十分に発達していなかった時代のGPまたはFamily Physicianとは異なり,組織的な研修プログラムのもとに,一般臨床医として必要な知識と技術を修得した医師,すなわち,Primary Care Physician育成のための講座を新設するように各医科大学に要請した。1966年一般医養成のための3年間のレジデンシー・プログラムの試案が発表され,1969年家庭医科Family Practiceの専門医制度American Board of Family Practiceが発足した。1970年代半ばには,Primary Care Physician育成のための卒後教育に,政府よりの予算が支給され,また多くの医学生が,Primary Careの医師を希望するようになり,現在ではほとんどすべてが専門医や研究者を希望して入学したハーバード大学の医学生でも,約半数がPrimary Care Physicianを希望するようになってきている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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