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雑誌詳細

文献概要

臨床医のプライマリ・ケア 産婦人科プライマリ・ケアの背景

環境因子—絨毛性腫瘍

著者: 原孝子1 広川清二1 西川良樹1 石塚隆夫1 後藤節子1 可世木成明1 友田豊1

所属機関: 1名古屋大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.763 - P.766

 絨毛性腫瘍(絨腫瘍)は,日本を含む東南アジアで頻度が高く,約350回の分娩に1回と欧米に比較して2〜3倍の発症をみている1)。その上,他の悪性腫瘍と異なって比較的若い20〜30代の婦人に多い疾患であり,挙児を希望するものも多い。しかし現在では化学療法の発達により予後は向上し,胞状奇胎(奇胎)はもとより,破壊性奇胎(破奇),絨毛癌(絨癌)の症例でも,発症時に適切なプライマリ・ケアが施行されれば,その後の妊娠・分娩を期待できるようになってきている。
 名古屋大学産科婦人科学教室では,昭和37年より愛知県の絨毛性腫瘍の登録管理を行なうことにより,奇胎後の管理,破奇・絨癌の早期発見・早期治療を積極的に行ない,治療後の妊娠・分娩,奇胎娩出後の妊娠分娩についても一定期間を過ぎたら特に制限しないよう指導してきた。その結果,奇胎・破奇・絨癌の治療施行時に子宮全摘術を施行せざるを得なかった症例を除いて多くの症例に児を得ている。

参考文献

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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