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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科36巻11号

1982年11月発行

文献概要

臨床メモ

LRFによる新しい避妊法の検討

著者: 佐藤直樹1

所属機関: 1峯クリニック

ページ範囲:P.804 - P.804

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 LRFは排卵誘発剤あるいは視床下部—下垂体系の検査法の1つとして広く臨床的に応用されているが,投与量によっては逆に,避妊効果があることが示唆されている。LRFの卵巣機能抑制作用に関してはすでに多くの報告がみられる。その作用機序は,LRF投与によって過剰に分泌されたLHは卵巣レベルでLH receptorを減少させ卵巣のLH結合力を阻害する。また直接卵巣に作用しFSH刺激によるステロイド生合成を阻害するなど報告されている。LRFのこれらの卵巣機能抑制作用は,down regulationあるいはparadoxical antifertility effectと呼んでいる。
 最近Sheehan K.L.らはLRFの黄体機能抑制作用を中心に,その避妊効果を検討している。すなわち,月経中にLRFを投与した場合,FSH分泌を抑制し,その結果folli-culogenesisの障害を来し,黄体機能不全を来たすことを詳細に分析している。年齢22〜39歳までの健康婦人で月経周期28日型の5名を対象とした。持続効果の強いLRFである〔D-Trp,Pro NEt〕-LRF 50μgを月経周期第1日目から3日間皮下に連続投与し,全周期にわたって血中LH,FSH,E2及びprogesteroneを測定した。LRF投与直後の2日間は,血中FSH,LH及びE2値は一過性に上昇するが,その後は卵胞期間中に血中LH値は,対象群に比べて有意な変動を示さなかったが,血中FSH及びE2値は有意な低値を示した(P<0.01)。その結果,LH surgeは対象群に比べて約9日遅延し,それだけ卵胞期が延長した。すなわち,投与群の卵胞期は平均23.2±1.2日で,これに対し対象群では平均14.2±0.2日であった。また,LH peak時における血中LH,FSH及びE2値は,いずれもLRF投与群では低値を示した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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