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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科36巻11号

1982年11月発行

文献概要

臨床医のプライマリ・ケア 母と子のプライマリ・ケア--母子相関をめぐって

子の母への絆と,その起源—周産期行動学的理解に立って

著者: 山内逸郎1

所属機関: 1国立岡山病院小児医療センター

ページ範囲:P.805 - P.809

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 母と子の間の愛着の絆,すなわちattachment,その形成は,出生に始まると理解されている。この理解は"how to make human beings human"という重大問題に関連して,産科・小児科の領域で,広い関心を集めており,その結果,新生児と母そしてその家族に対する対応が,次第に軌道修正されるようになった。こうして,母と新生児とが,分娩直後から出来るだけ長時間,密着していられるように配慮することが,相互のattachmentの為に必須であるという考えは,日常の産科臨床の中に漸く定着しようとしている。
 ではこのattachmentが,分娩直後なぜかくも短い時間内に成立するのかその機構には未だ多くの疑問点が残されているが,少なくとも母から子へと,子から母への双方から,同時的に起こる相互作用によるらしい。そして両者とも感覚が最大限に目覚めた状態に於て,互を識ろうとするのである。しかも視覚,聴覚,触覚,温覚,運動覚,それに加えて内臓覚,これらの総てを駆使して,相互のattachmentが急速に築かれて行くらしい。だからこの相互結合の発達の起源,すなわちattachmentの原点は,分娩・出生にあると一般に考えられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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