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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科36巻12号

1982年12月発行

文献概要

臨床医のプライマリ・ケア 症候論の整理

月経異常と不正性器出血

著者: 柳沼忞1

所属機関: 1富山医科薬科大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.867 - P.872

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 閉経前後は,初潮の頃と並んで最も月経異常の発生頻度が高い年代である。その頃はまた癌の好発年代でもある。従って不正出血がありますといって外来を訪れる患者の大部分は,この年代の婦人である。「軽度の月経間出血あるいは性交後出血は,子宮頸癌の早期に見られるものに類似し,婦人科医は,かかる疑わしい徴候の患者を前にしたときに,癌の代りにその頸管から突出した1個または数個の子宮頸ポリープを発見するときに安堵のため息をつくのである」と述べているのは,Novakの婦人科学教科書(訳本から引用)である。この教科書を読んで非常に感銘した文章の一つである。何と患者に対して思いやりのある言葉であろうか。学問的に高いレベルの内容がぎっしりつまったこの世界的な教科書の中で,それはひときわ目立ったものであった。
 この文章の中にも表現されているように,不正性器出血を主訴にして来院した婦人の診察にあたって最も留意すべきことは,それが悪性疾患によるものではないかということである。この悪性疾患の代表的なものは,子宮および卵巣の癌である。それらは,どんな年代においても発生しうるが,これらにはその好発年齢がある。このような器質性疾患以外の原因による不正性器出血は,主に内分泌学的な異常によって発生する。その異常はまた年代により異なる特徴を有する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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