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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科36巻2号

1982年02月発行

文献概要

臨床医のプライマリ・ケア 救急医療のfirst aid

性器出血

著者: 宮川勇生1 森憲正1

所属機関: 1宮崎医科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.89 - P.92

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 性器出血は,産科婦人科の救急医療において最もよく遭遇する主訴の一つである。救急医療で取り扱う性器出血の多くは,かなり大量の出血である場合が多いが,たとえ少量であっても,大量出血の,また,重篤な疾患の前駆症状である場合もあり,胎児を死へ,さらには,数時間前まで健康状態にあった母体をショックから死へ至らしめることは決してまれではない。
 性器出血では,症状としての出血そのものが重篤な危険を孕んでいるが,われわれにとってさらに大切なことは,その原因をできるだけ早く明らかにして,つぎに患者が陥りやすい状態を予想し,後手にならないように対処することである。これらは,常位胎盤早期剥離の初期に見られる少量の出血が,引き続き起こりやすいDICによる止血困難な出血や腎不全の前触れであり,それに対する心構え,治療のための薬剤,器具の準備などが重要であることは日常の臨床で経験するところである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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