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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科36巻5号

1982年05月発行

文献概要

トピックス

頸管妊娠の保存療法としての頸管縫縮術

著者: 広井正彦1

所属機関: 1山形大学医学部産科婦人科

ページ範囲:P.369 - P.369

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 頸管妊娠は妊卵が内子宮口より下部の子宮頸管に着床発育したもので,16,000〜95,000例の妊娠に1例というぐらい極めてまれな疾患である。この場合,妊娠20週以上こえることはまれで,大部分がその以前に出血し,時には死亡することもあるほど恐ろしいものとされてきている。この時の治療法として種々の保存的療法も試みられてきたが,必ずしもよい方法は見当らなかった。
 Bernsteinら1)は,2例の症例に頸管縫縮をして成功した興味ある症例を報告している。その例をみると,第1例は35歳,妊娠8週で疼痛を伴わない性器出血をみた。子宮は妊娠相当の大きさで形状も不正,頸管は開大して外子宮口は直径2cmの大きさになっていた。不全流産の疑いにて子宮内容清掃術を行なったところ,子宮頸管部に胎盤が付着し,子宮腔はemptyであった。掻把中出血量は増加し,直ちにタンポンを挿入し輸血を行なったがショックに陥り,子宮全摘を考慮したが,頸管を両側より鉗子で止血した。2時間後に鉗子を除去したが再び出血したので頸管無力症に対する頸管縫縮術のように内子宮口から1cm下方に2回絹糸で縫合した。その後全身状態もよくなり,発熱もなく,頸管も壊死に陥らなかった。術後10日目に抜糸し,退院した。5週目に正常月経が発来し,その後子宮卵管造影にて子宮・頸管も正常であることを確認した。この症例の経験をもとにして,第2例目の26歳の婦人に遭遇した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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