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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科36巻6号

1982年06月発行

臨床医のプライマリ・ケア カウンセリング

Sex Counselingの今日的諸問題

著者: 野末源一1

所属機関: 1日赤医療センター婦人科

ページ範囲:P.449 - P.455

文献概要

Ⅰ.性と性愛の異常
 人間の性生活は種々の面をもっている。しかし,基本となるのは異性間の性交であることに多くの人は納得するであろう。人間の一生をとってみると,ある時期にこれから少しずつはみ出していたり,また他の様式の性行動をとっていることがある。これら正常の性交からわき道へとはずれた場合には,これをSexual deviationとも呼び,また,この現象を病的であると考える人々は,これを"性の異常"とも呼んでいる。よい例が同性愛である。多くの人々は同性愛を病的と考えているが,アメリカ精神病学会では1973年よりこの同性愛を権威あるDiagnostic and Statistical Man—ual of Mental Disordersより除いてしまっていて,同性愛はすでに病的であるという見解を支持していないことがわかる。
 1例を同性愛にとったが,性の異常の分類は,Freudによれば,性の異常を示すものは性の精神発達に欠陥があるとした。Freudの精神分析理論に性の自然科学的な基礎があるか否かの議論は全く別にして,Freudは性の対象(Sexual ohject)と性の目的(Sexual aim)の異常の二つに分けた。性の対象では同性間(Homosexual),子供(Pedo-philia),近親間(Incest),動物(Zoophilia),生物ではないもの(例えばFetishism)に分けた。性の目的の異常では,性交をすることなく,他人の性交をしているのを見て楽しんだり(Voyeuirism),自分の性器を他人にみせびらかしたり(Exhibitio-nism),苦痛を与えたり(Sadism),苦痛を受けることに性的喜びを感じること(Masochism)に分けている。Freudの目的は性の異常の分類ではなく,幼児から成人となる成熟過程を説明するのに使用したのであるが,彼の理論と関係なく,現在では概念的に,この分類がよく使われている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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