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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科36巻6号

1982年06月発行

文献概要

薬の臨床

子宮癌術後感染症の予防対策に関する検討

著者: 那須健治1 水谷重康1 藤本宏四1 八木秀満1

所属機関: 1関西労災病院産婦人科

ページ範囲:P.493 - P.498

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 子宮頸癌の診断法・治療法は,進歩・確立されつつあり,その罹病率に比して死亡率は年々減少を示している。早期診断法の進歩とともに,抗生物質の出現による手術療法後の感染症の減少も,その一つの要因と考えられる。手術療法の根幹となる広汎性子宮全摘除術は全国的に標準化され,大差のない治療成績があげられるに至っているが,術後障害に関してはなお問題があり,種々の改善策が検討されている。なかでも子宮頸癌の術後感染症としては,尿路感染症と骨盤死腔炎の頻度が高い。前者は術後の膀胱機能回復までに日数を要し,膀胱カテーテル挿入期間の長いことに起因すると考えられている。後者は広汎性子宮全摘除術においては,骨盤腹膜下に広い創腔が生じ,滲出液,血液,リンパ液などの貯留があり,細菌の増殖の場として好適で,抗生物質出現以前には80%以上にもおよぶ発生率があったといわれ1),今日でも根絶を期することが困難である。その対策としてはドレーンによって骨盤死腔からの排液をはかるとともに,術後に予防的な抗生物質の投与が行なわれている。一方,子宮頸癌患者の細菌学的な検索によると,正常者や良性疾患患者に比して,腟内に雑菌の検出率が高く,これらの細菌は創面を通って所属リソパ節に達しているのが確かめられており,手術時に術野にばらまかれる可能性があり,子宮頸癌の手術は有菌手術とみなすべきであるといわれている2)。これらの事実に基づき,広汎性子宮全摘除術施行患者の術前に腟内細菌を検査,同定するとともに,ゼオペン(CB-PC)を投与して術後の感染予防を試みた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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