icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科36巻6号

1982年06月発行

トピックス

胎盤性サルファターゼ欠損症と伴性劣性遺伝を示す魚鱗癬

著者: 田部井徹1

所属機関: 1自衛隊中央病院産婦人科

ページ範囲:P.499 - P.499

文献概要

 妊娠後半期の母体尿中エストリオール(E3)値は,胎児胎盤機能の指標とされている。E3の異常低値(5mg/日以下)は胎児死亡,無脳児あるいは先天性副腎発育不全症などの胎児因子によることが多い。一方,胎盤性サルファターゼ欠損症は,胎児異常を伴わずに胎盤におけるdehydroepiandrosterone-sulfate (DHA-S)から遊離型DHAへの転換酵素であるステロイドサルファターゼ活性が欠如しているために母体尿中E3値が3mg/日以下の異常低値を示す疾患である1,2)。本疾患は,1969年FranceとLiggins3)が最初の1症例を報告して以来現在まで世界各国より64症例が報告されているに過ぎないまれな疾患である。最近,「TextBook of Endocrinology」Williams,R.H.編の最新(第6)改訂版に著者らの文献1)を引用して妊娠中の内分泌代謝異常症として紹介された。
 本疾患の臨床的な特徴は,低エストリオールのため子宮頸管の熟化が障害され予定日超過になりやすく,またオキシトシンなどの子宮収縮剤に対する子宮筋の反応性が悪く有効陣痛が得られず帝切になることが多い。さらに出生児がすべて男児であることから性染色体の関与が考えられ遺伝的にも興味深い。France4)は,文献報告された本疾患の36症例を中心として,臨床的な特徴を概説している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら