icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科36巻9号

1982年09月発行

トピックス

Apgar Scoreは仮死の程度を示さない

著者: 広井正彦1

所属機関: 1山形大学医学部産科婦人科学

ページ範囲:P.716 - P.716

文献概要

 今日では生後まもない新生児の所見を知る方法としてApgar scoreが考案され,臨床的にも広く応用されて来ている。これまでの多くの研究によると,生後1分目のscoreは新生児死亡を判定する上に重要であり,5分目のscoreはその後の神経学的異常の予知に重要であるとされて来た。
 Meyersら1)の研究によると,新生児の急性神経障害は分娩以前の胎児期での重症酸素欠乏症から来るもので,出生後の新生児自身の酸素欠乏症に由来するものは稀れであるとのべている。そこで,Sykesら2)は,high riskの母親から生まれた新生児の臍帯血中の酸塩基平衡とApgar scoreとの関係を調査した。1981年4月より6月までの間に1,210例の新生児が生まれたが,このうちの1,039件の臍帯血を採取し測定した。臍帯動脈血(899例)の平均±1(SD)値はpH7.20土0.08,base deficit8.33±3.97m mol/lであった。同様に臍帯静脈(1,027例)ではpH7.31土0.08,base deficit 6.12±2.99mmol/lであった。125例の新生児は臍帯動脈のbase deficitは12mmol/l以上を示し,このうち77例は臍帯動脈で7.11以下とhigh risk groupに属していた。これは分娩時に重症なacidosisを示し,その後も重症なacidosisが持続した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら