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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科37巻1号

1983年01月発行

産婦人科医療--明日への展開 生殖のコントロール--不妊治療への展望

Case Study--明日への対策をめぐって

黄体機能異常

著者: 木下勝之1 佐藤和雄1 岡井学1 河井康夫1 堤浩1 北川浩明1 高木耕一郎1 坂元正一1

所属機関: 1東京大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.39 - P.43

文献概要

 黄体機能異常が,不妊症の一つの原因として重要視されて久しいが1〜3),今だその病態生理の詳細は不明である。しかし,近年黄体で産生されるprogesterone (P4)と子宮内膜の関係は,単に着床期内膜の形態的変化だけではなく,生化学的変化も注目され始めている。例えば家兎の着床前期の子宮内液中で発見されたuteroglobinと呼ばれる特異蛋白は,ヒトの内膜でも,P4により合成が刺激され,子宮内腔へ放出されること4),さらに,妊卵が着床すると,この合成は阻害されることも明らかとなっている5)。従って,この物質は,発育するblastocystが着床する際のminoenvironmentに必須の蛋白である可能性が強い。このような着床に関連した局所のchemical mediatorや,内膜の糖質代謝,アキドン酸代謝,さらにステロイドレセプターの異常等が,黄体機能異常の結果による不妊の直接の原因として論ぜられる日も近いと思われる。そこで,このような子宮内膜の異常を引きおこす黄体機能異常の成因を考えると,理論的には卵胞細胞の黄体化,黄体機能維持,そして黄体退縮という過程における黄体の異常とも考えられるし,必ずしも黄体そのものの異常ではなく,視床下部下垂体系の失調,卵胞細胞の発育異常,さらにgonadotropinに対する黄体細胞の反応性の低下等も考えられる6,7)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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