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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科37巻10号

1983年10月発行

文献概要

産婦人科医療--明日への展開 診断基準--新しい局面 Ⅱ.産科篇

初期切迫流産管理指針—とくに内分泌学的立場から

著者: 相良祐輔1 山懸猛日1

所属機関: 1高知医科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.685 - P.688

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 臨床上流産頻度の高い時期は妊娠3週頃から15週前後の間であり,全妊娠の10〜15%程度にみられるといわれる。この初期流産については染色体異常,免疫学的異常,栄養障害,内分泌学的因子,機械的因子等きわめて多くの原因が挙げられている。切迫流産の病態はこれらの諸因子が錯綜し多種多様であり,特に実地臨床の場で個々の症例について,その原因・病態を明らかにできる機会は稀といわざるを得ない。切迫流産に対する管理規準の確立し難い理由がここにある。現に,本症に対するホルモン療法に関しても,単に副作用の面からだけでなく,正常妊娠と切迫流産との内分泌環境の違いを,原因とする者,結果と考える者とがあるように本質的に賛否両論がある。しかしながら卵巣摘除実験を初めとし,妊娠初期の内分泌環境はそのダイナミクスが下垂体—卵巣系から絨毛—卵巣系へ,さらに胎児—胎盤系へと移行し妊娠維持機構にホルモンが強く関与していることは否定できない。今回は,検査成績が試料採取日中に臨床にフィード・バックできることを条件に,筆者らがルーチン・ワークとしている血中progesteroneと尿中hCGの動態からみた切迫流産の内分泌環境を解析し,内分泌学的管理規準,予後判定,治療打ち切りのタイミングについて概説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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