産婦人科医療--明日への展開 診断基準--新しい局面
Ⅱ.産科篇
新生児の中枢神経機能—光眼輪筋反射による脳幹機能検査より
著者:
松村忠樹1
安原昭博1
所属機関:
1関西医科大学小児科学教室
ページ範囲:P.725 - P.727
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最近新生児のintact survivalがさかんにいわれるようになってきた。集中治療を受けた児の生命予後は良くなってきたにもかかわらず,何らかの神経障害を残す児は少なくない,中枢神経系の中でも特に脳幹部は,周生期の低酸素状態,虚血状態に対して脆弱な部位である。したがって脳幹部の状態を正しく把握することはハイリスク児の管理上特に大切である。周生期の低酸素状態や頭蓋内出血(ICH)による脳幹障害を電気生理学的に検索することにより,後の中枢神経障害の発生を少しでも減らすことができると考えられる。脳幹機能検査法として考えられるものには光眼輪筋反射や聴性脳幹反応(ABR)1)などがあるが,ABRはモニタリングとして行うには時間がかかる点など不適当である。また,脳波も同様に時間の点から不適当であるし,脳幹機能を判読するのは困難である。これらのことから考えると,周産期医療を行う際に中枢神経系の機能を把握するには光眼輪筋反射がすぐれていると考えられる。ここでは新生児の中枢神経機能検査としての光眼輪筋反射について述べる。
光眼輪筋反射の記録方法には2種類あり,眼瞼部の微小振動としてとらえるものをMV2)(photo-evoked eyelid microvibration),電位変動を記録するものをPPR3)(photopalpebral reflex)と呼んでいる。これらにはそれぞれ特徴があるため,両者を同時に記録することが望ましい。