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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科37巻11号

1983年11月発行

雑誌目次

グラフ 胎児奇形の映像診断

腎奇形(Potter症候群)

著者: 青木嶺夫

ページ範囲:P.754 - P.755

 超音波断層法の開発・改良,とりわけ電子スキャンの出現により胎児観察が容易となり,観察所見と臨床結果との統合から胎児診察と呼び得る医療が芽ばえつつある。すなわち,妊娠の管理をまかされている我々産科医にとって,母体と同様に胎児をも診察する必要が生じてきたわけである。「つらい」,「苦しい」と訴えられない胎児を診察するためには,先ず,「いつ,いかなる時期に胎児を診察すべきか」を検討しなければならない。換言すれば,「妊娠のどの時点で超音波胎児スクリーニングを行えば,最も効率よく臨床に必要な胎児情報が得られるか」ということであり,胎児管理水準をどのレベルに設定するかに懸っている。胎内感染症などの急性に発症する胎児仮死を除くと,妊娠中の胎児仮死(ante—partum fetal distress)はかなり緩徐に経過することが明らかになってきており,妊娠初期・中期・後期の超音波スクリーニングにより胎児計測・評価を行えば,顕性胎児仮死・胎内死亡に至る前に慢性胎児仮死と診断することは可能である。急性胎児仮死は超音波断層法のみでは管理しえない。胎児形態異常診断はこうした超音波スクリーニングにおける副次的産物であり,本稿で提示する胎児腎疾患症例もスクリーニングとしての胎児診察時に診断されたものである。
 胎児が尿路系疾患を有し,無尿のため羊水過少に陥れば,胎児肺の発育・成熟は高度に障害され,児は出生直後に呼吸不全にて死亡する。胎児は妊娠14週には既に尿産生を開始しているが,無尿の胎児がいつから羊水過少を呈するかは定かではない。筆者は1978年以来5例(当科の年間分娩数は約450例)の胎児尿路系疾患を経験したが,うち2例が羊水過少を示し出生後2〜3時間で死亡した。1例(bilateral multicystic dysplasia of kidney:Potter’s type Ⅱ)は妊娠19週5日の中期スクリーニング時に既に羊水過少を呈しており,他の1例(urethral obstraction)は妊娠21週5日の超音波検査時に羊水過少を示していた。他の3例(2例は片側のrenal cystic disease,1例は軽症の両側水腎症)は,いずれも羊水過少を来さず,現在も生存中であり,現時点では予後良好と考えている。5例中4例は男児であり,死亡した2例はいずれも男児でPotter’s faciesを呈した。

指標

異常卵の発生機序—Ⅰ.淘汰との関連でみた異常卵の臨床的意義

著者: 佐藤孝道 ,   加賀山哲夫 ,   五味渕秀人 ,   香山文美 ,   森田良子 ,   水野正彦 ,   坂元正一

ページ範囲:P.757 - P.767

 ヒト卵子の数は胎児期に最高になり約700万個にも達するが,その後次第に減少し実際に排卵される数は数百個にすぎない。また,男子の一生を通じて作られる精子の数は数え切れない。ヒトの場合わずか2〜3人の子孫を作るのに何故無数の生殖細胞が必要であるかは,神秘のヴェールに包まれたままである。
 一方,自然流産胎児の半数以上に染色体異常や奇形が発見され,胎児そのものの異常によって胎芽死亡から流産に至ることが明らかとなった。普通の妊娠で10〜15%という高頻度で流産が起こることもさることながら,さらに着床以前に失われる妊卵の数がその数倍に及ぶことも推測されており,生殖現象を淘汰の過程としてとらえることの重要性が指摘されつつある。

産婦人科医療--明日への展開 病態生理の新しい理解 Ⅰ.婦人科篇

頸部前癌病変

著者: 秋谷清 ,   中村文武 ,   宇都宮篤司

ページ範囲:P.769 - P.774

 前癌病変の病態については,基礎,臨床を問わず数多くの論義が行われており,また種々の同義語が用いられ,必ずしも統一した見解が得られていなかった(表1参照)。しかし,近年多くのfollow-up studyによる前癌病変へのアプローチがなされ,特に子宮頸部病変においては,dysplasiaがしばしば上皮内癌や浸潤癌に前駆し,また進展することが報告され,1961年第1回国際細胞学会においてその統一見解が申し合わされた。それ以降は癌前駆病変あるいは前癌病変としてdysplasiaなる組織学的診断名が広く用いられるようになっている1,2,9)
 わが国では最近子宮癌の集団検診が普及し,細胞診による癌の早期発見の増加とともに上皮内癌やdysplasiaの検出も著しくレベルアップしている。また,病変の確定診断に必要な生検組織診をより的確なものにするため,外来診療においてコルポスコピーの普及もめざましく,これらの検査法によってdysplasiaの病態を正しく把握することは婦人科臨床医として不可欠なものとなっている。

胞状奇胎の雄性発生とその悪性化機構への考え

著者: 関敏雄 ,   藤田博正 ,   大久保仁 ,   酒井慶一郎 ,   林宏 ,   椎名美博 ,   和気徳夫 ,   一戸喜兵衛

ページ範囲:P.775 - P.778

 全胞状奇胎(奇胎)は,全ての絨毛の水腫嚢胞化と胎児の欠如を特徴とし,組織学的にトロホブラストの過形成,絨毛間質の浮腫および血管無形成,胎児由来組織の欠如を示す疾患であるが,臨床上奇胎娩出後約10%の患者に続発変化をきたし,破壊性奇胎や絨毛癌などの悪性変化例が認められる。このため奇胎は癌化しやすい素地をもつ疾患としてその本態に興味がもたれ研究が積み重ねられてきている。1970年染色体分染法の開発に端を発した細胞遺伝学の急速な進展に伴い,その応用が奇胎細胞におよび,奇胎発生機構の解明が急速に展開された。本稿では細胞遺伝学から解明された「奇胎は父親のゲノムのみを継承し発生の進行する」という雄性(核)発生(androgenesis)機構の解析の経偉と,続発変化には二精子受精により発生した奇胎が関与しているのではないかという最近の知見について述べることとする。

日和見感染

著者: 山本皓一

ページ範囲:P.779 - P.781

Ⅰ.言葉の意味
 日和見感染はopportunistic infection (以下O.I.と略)の邦訳であり,その意味はopportunistまたはop—portunistic pathogenによる感染症,つまり「普通なら病原性をもたない弱毒菌や平素無害菌によって,抵抗力の低下した宿主にだけ感染症が惹起されること」である。opportunistという言葉の日本語訳は御都合主義老,ひより見主義者などとなっているから訳語としては間違っていないが,医学用語として適訳かどうかは問題である。通性感染facultative infectionという言葉が同義語として用いられるが,これも分りにくい言葉である。通性—facultativeとはたとえば嫌気性,好気性に対して通性というように「ひとつに限られずに,両方にわたって」の意味である。opportunisticもしくはfacultativeのいずれも,菌の病原性に関する形容であり,「状況や条件によって病原性があったりなかったりする」という意味であろう。
 O.I.という病態が臨床的に問題となり,その細菌学的実態が解明されたのは1960年代の終わりになってからであるから,これらの言葉が使われるようになったのは比較的最近のことといってよい。内外の医学辞典でも,1970年代後半以後のものにはこれらの術語が見られる。

肥満

著者: 河上征治

ページ範囲:P.783 - P.786

Ⅰ.産婦人科における肥満の意議
 肥満は健康管理上には各科共通の大きな課題である。従来婦人科領域では体重変動と性機能については,欧米におけるほど本邦においては関心が寄せられなかった。それはいわゆる戦前,戦後10数年間まで(1960年ころまで)は本邦の女性に肥満体はきわめて少なかった。しかし1960年代からは女性の体位は向上した。すなわち摂取カロリーとしての栄養の向上はめざましく,消費カロリー(電化製品,自動車の普及等)の減少がその一因となり,女性の肥満度も欧米に近づいてきた。特に妊婦の体重変動においては,日本の女性は戦前は何人の出産を経験しても母体重には変化なく肥らないということが,世界の関係者からうらやましがられていたが,1960年代からはそれも欧米なみになってきた。
 女性の体重変動,とくに肥満が初潮期,妊娠分娩時,閉経期を境として起因すると思われる印象を強くうけるが,その因果関係はいまだ明確ではない。しかし婦人科領域で肥満婦人に月経異常や無排卵症例が同一基準から算出した標準体および不足体重者よりも頻度が多いこと,肥満を伴う無排卵症例が体重減少のみにて排卵誘発に成功する経験をもつことは,否定できない。

子宮内膜症

著者: 佐藤和雄

ページ範囲:P.787 - P.790

 子宮内膜症とは,異所性に子宮内膜組織が発生増殖することにより,月経困難症をはじめとする様々な自覚症状および他覚症状をあらわす疾患である。歴史的にはRokitanskyによって1世紀以上昔(1860)に報告され,Sampsonによってendometriosisと命名されて以来研究が続けられているが,未だに謎の多い疾患である。発生機序については従来より多くの議論があり,子宮内膜深部増殖説,子宮内膜卵管移植説,子宮内膜転移性移植説,直接移植説,漿膜上皮化生説,胎生上皮由来説などが提唱されたが,一元論的には説明出来ないほど複雑なものなのであろう。
 発症頻度は社会環境の変化に伴いわが国でも近年増加の傾向にあり,ある報告では1962年の開腹術施行例中7.3%に子宮内膜症が認められたのに1966年では18.6%に増加し,また他の報告では1967年13.3%であったものが1975年には38.8%の高頻度になっていた。年齢別には40歳台に最も高頻度にみられ,若年者では14歳で発症したとの報告もあるが,一般に10歳台また50歳を過ぎると少ない。発生部位1)として内性子宮内膜症47.5%,外性子宮内膜症52.5%で子宮(adenomyosis)が最も多く,次いで卵巣,骨盤内びまん性の順で他は頻度は少なくなる。

乳汁漏出無月経症

著者: 関克義

ページ範囲:P.791 - P.794

 1970年代初頭,ヒトにおいてプロラクチン(PRL)の存在が確立し1),血中PRLのradioimmunoassayによる測定が可能となり2),乳汁漏出無月経症において高頻度に高PRL血症が認められることが判明した3)。一部,血中PRLが正常の乳汁漏出無月経症も存在するが,この病態生理は高PRL血症性乳汁漏出無月経症とは異なると考えられる。今回は,高PRL血症性乳汁漏出無月経症について述べる。高PRL血症を原因別に分類するならば,薬剤によるもの,甲状腺機能低下症,PRL産生下垂体腺腫(prolactinoma)などがあり,さらに明らかな原因の認められない特発性高PRL血症がある4)。高PRL血症性乳汁漏出無月経症に原因に応じた適切な治療(休薬,甲状腺ホルモン,下垂体腺腫別出術,bromocriptine)を行い,血中PRLを正常化すれば排卵周期が回復する5〜7)。したがって高PRL血症における排卵障害はPRLの過剰分泌によるものと考えられる。
 PRLの過剰分泌が排卵障害を起こす機構について考える前に,PRLの分泌調節について簡単に述べる。PRL以外の下垂体前葉ホルモソは視床下部より主として促進的影響を受けるが,PRLの分泌は視床下部の抑制的支配下にある。視床下部にPRL分泌抑制因子(PIF)が存在することは古くから知られていた。近年PIFがdopamineであることを示す研究成績が報告されている8,9)。ラットのPRL細胞あるいはヒトの下垂体前葉にdopamine receptorが存在し,in vitroの実験でヒト下垂体のPRL産生がdopamineによって抑制されることが報告されている10,11)。dopamineのantagonistであるspiperoneはヒト下垂体前葉組織およびヒトpro-lactinoma内の単一のhigh affinity siteと結合する11)。thyrotropin releasing factor(TRF)がTSHのみならずPRLの放出も刺激することが知られている12)。正常婦人および男子にTRFを静注投与すると血中PRLは5分以内で増加し20−25分でピークに達する13)。しかしTRFが生理的なPRL分泌刺激因子なのか現在明らかではない。最近,prolactinoma患老の血液中にPRLの分泌を刺激する物質が存在すると報告されている14)。これが生理的なPRL分泌刺激因子であるのかもしれない。

神経性食欲不振症

著者: 三宅侃 ,   川村泰弘 ,   青野敏博

ページ範囲:P.797 - P.800

 神経性食欲不振症は,精神心理的異常が根底にあり,思春期に発症し,その発症前後から無月経や体重減少を伴うため産婦人科を訪れることが多い。しかし本症の概念が明確でなく,治療法も確立されていないのが現状である。現在厚生省では難病の1つとして本症をとりあげ,研究班を組織し,その病態の解明や有効な治療法の確立をめざしている段階である.以下,本症の概念や現在理解されている病態,とくに間脳—下垂体—卵巣系機能を中心に,我々の成績を含めて述べる。

多嚢胞卵巣(PCO)—とくに白膜の肥厚機序について

著者: 平川舜 ,   金子慶賛 ,   小島栄吉 ,   椎名一雄

ページ範囲:P.801 - P.806

 PCOの病態生理を新しい観点から理解する中で,PCOの特徴とされる肥厚した白膜の本態とその肥厚機序を知ることは,本症候における無排卵の原因を明確にする上からもきわめて重要な課題である。
 白膜肥厚の背景では,本症候の内分泌学的特徴であるLHの持続的過剰分泌の刺激を受け,卵巣の間質,閉鎖卵胞の内莢膜細胞層で過剰に産生分泌されるアンドロゲンが重要な意味をもつ。今回は,PCOにおける卵巣性アンドロゲンの過剰産生の内分泌学的背景と結合組織学的にアンドロゲンが白膜組織におよぼす影響について解説する。

卵巣過剰刺激症候群

著者: 西望 ,   鈴木明 ,   下地祥隆 ,   斎藤幹

ページ範囲:P.807 - P.811

 卵巣の過剰刺激現象は,奇胎の際等に昔から観察されている。またMeigsらが卵巣せんい腫の患者に腹水胸水の出現することを報告し,以来いわゆるMeigs症候群として知られてきたが,FSH製剤が更年期後婦人尿から製精されるようになってからは,同様の症状がしばしば経験されるようになった。現在までに卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生予防およびその加療は研究されてきたが,結論として,重症なOHSSは回避できるようになった。しかしそれに伴う多胎は回避でき難いというのが現状である。

更年期障害(更年期不定愁訴症候群)

著者: 安部徹良

ページ範囲:P.813 - P.818

 更年期障害の類似の用語として更年期不定愁訴症候群やclimacteric syndromeの日本語訳である更年期症候群などがあるが,このうち更年期不定愁訴症候群は,これまでの多くの研究者の定義1〜4)からみて,「更年期婦人における自律神経の機能障害に起因すると推定されるが,その原因として器質的変化が全く,あるいはごく僅かしか見出されない原因不明の愁訴の集合体である」と考えてよさそうである。一方,更年期障害は,研究者4)によっては,また,更年期症候群は,その定義5)の中に,更年期不定愁訴症候群の内容以外に,器質的な変化を伴うものも含めている。したがって,ここでは,できるだけ対象とする病態の多様性を少なくするために,狭義の更年期障害の意味で,更年期不定愁訴症候群を用いることにする。
 次に,本症候群の病態生理に関して述べる前に,臨床医学における病態生理学について触れてみたい。臨床医学が,現実の系統的認識である学(Science,die Wissens—chaft)として体系づけられる過程において,その対象に関する認識は次のような段階を経る6)といわれている。すなわち,まず,最初は現象論としての症候論の形をとるが,次の段階では実体論としての病態生理学へ,最終段階では本質論としての病因論へと深化する方向を辿るという。したがって,更年期不定愁訴症候群の病態生理を考える場合には,その対象の認識の過程がどのように深化してきたのかを,研究の発展の跡を辿って明らかにしておく必要があると思われる。

自己免疫疾患

著者: 金沢浩二 ,   吉沢浩志 ,   竹内正七

ページ範囲:P.819 - P.824

 生体の恒常性homeostasis維持において異物排除という免疫学的理論は不動である。異物とは非自己not-selfであり,生体はこれに対して細胞性,体液性免疫応答をし,最終的にその拒絶排除に成功する。一方,自己self,すなわち生体を構成してその機能を担当している成分に対しては免疫応答をしないのが原則とされてきた。しかし,現実には自己に対する免疫応答も発現しうることが解明されてきた。そして,もし自己に対する免疫応答が発現し,それが質的に,あるいは量的に生理的範囲を逸脱し,その結果として組織障害をきたし,臨床的症候を呈した場合,その病態を自己免疫疾患autoimmune diseaseと呼称している。
 従来原因不明とされていた疾患には少なからずこの自己免疫疾患に分類するべきもののあることが明らかにされ,現在では表1のような疾患があげられている。これら疾患には女性に好発するものがあり,また,早発閉経と抗卵巣抗体,女性不妊と抗卵抗体など婦人科領域に特有な病態もある。しかし,自己免疫疾患が特に興味をもってとりあげられるのは産科領域においてであり,後述するように,それは妊孕現象が自己免疫疾患の発生機序に関する研究に極めて有意義な情報を提供してきたからである。

トピックス

未熟児の骨盤位は帝王切開分娩を

著者: 広井正彦

ページ範囲:P.774 - P.774

 胎児を如何にして分娩予定日近くで健康に安全に娩出させるかが産婦人科医の役割であるといっても過言ではない。しかし,不幸にして妊婦自身の合併症や胎児・胎盤の異常により早期に分娩したり,骨盤位などの異常胎位にて分娩したりすることがあり,頭を痛めるところである。最近10年来,低体重・未熟児でなお骨盤位の分娩の方法について多く議論されて来た1〜5)。この中で大病院のデータでは帝切分娩を推奨する者が多いが,未熟児であり分娩後の罹病率や周産期死亡率の高い上に帝王切開を行った場合,本人はもとより家族の悲しみなど考えると必ずしも帝切分娩が推奨されうるか疑問視する者も多い。まして児が小さいとなれば経腟分娩に期待しようとする者も少なくない。そこでMainら6)は1977年から1981年にかけてSt.Louis Childrens Hospitalの新生児集中監視ユニットに入院した500〜1,500gの新生児で骨盤位分娩240例と頭位分娩525例の分娩様式による予後について比較検討した。
 骨盤位分娩例の死亡率をみると,帝切分娩例では29%と,経腟分娩例58%に比較して帝切例に有意に低かった。新生児の体重を2509ずつにわけて経腟と帝切分娩との死亡率を比較すると,体重750〜990gでは経腟分娩87%,帝切分娩60%と両者間に有意差はなく,1,000〜1,249gでは前者48%,後者26%と有意差はみられなかった。また1,250〜1,499gでも23%,19%と有意差はみられず,児体重別に死亡率を分娩形式別に検討しても有意差はなかった。

原著

不妊婦人の原因別人口について

著者: 平野睦男 ,   星和彦 ,   鈴木雅洲

ページ範囲:P.825 - P.828

 不妊症は種々の原因でもたらされた「妊娠しない」夫婦の状態であり,その責任は当然,夫と妻のいずれか一方,またはその両者にあると考えられるが,夫と妻のいずれの側にもはっきりした原因を探しえない場合もすくなくない。不妊症の原因としては,男性側および女性側それぞれに多くの事項が挙げられており,また原因別に頻度も検討されている。今回われわれは不妊症の原因やその頻度に関する諸家の報告をもとにして,きわめておおまかではあるが,本邦における不妊婦人の人口について概算してみた。この結果,いくつかのすぐれた薬剤の開発により,排卵障害にもとづく不妊婦人の多くが,排卵・妊娠が可能になったが,いかに多くの卵管性不妊や男性不妊の患者が医学の助けにより挙児の希望のかなうよう願っているかを知ることができた。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

71巻10号(2017年10月発行)

今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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