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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科37巻11号

1983年11月発行

トピックス

未熟児の骨盤位は帝王切開分娩を

著者: 広井正彦1

所属機関: 1山形大学医学部産科婦人科

ページ範囲:P.774 - P.774

文献概要

 胎児を如何にして分娩予定日近くで健康に安全に娩出させるかが産婦人科医の役割であるといっても過言ではない。しかし,不幸にして妊婦自身の合併症や胎児・胎盤の異常により早期に分娩したり,骨盤位などの異常胎位にて分娩したりすることがあり,頭を痛めるところである。最近10年来,低体重・未熟児でなお骨盤位の分娩の方法について多く議論されて来た1〜5)。この中で大病院のデータでは帝切分娩を推奨する者が多いが,未熟児であり分娩後の罹病率や周産期死亡率の高い上に帝王切開を行った場合,本人はもとより家族の悲しみなど考えると必ずしも帝切分娩が推奨されうるか疑問視する者も多い。まして児が小さいとなれば経腟分娩に期待しようとする者も少なくない。そこでMainら6)は1977年から1981年にかけてSt.Louis Childrens Hospitalの新生児集中監視ユニットに入院した500〜1,500gの新生児で骨盤位分娩240例と頭位分娩525例の分娩様式による予後について比較検討した。
 骨盤位分娩例の死亡率をみると,帝切分娩例では29%と,経腟分娩例58%に比較して帝切例に有意に低かった。新生児の体重を2509ずつにわけて経腟と帝切分娩との死亡率を比較すると,体重750〜990gでは経腟分娩87%,帝切分娩60%と両者間に有意差はなく,1,000〜1,249gでは前者48%,後者26%と有意差はみられなかった。また1,250〜1,499gでも23%,19%と有意差はみられず,児体重別に死亡率を分娩形式別に検討しても有意差はなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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