icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科37巻11号

1983年11月発行

文献概要

産婦人科医療--明日への展開 病態生理の新しい理解 Ⅰ.婦人科篇

日和見感染

著者: 山本皓一1

所属機関: 1東京警察病院産婦人科

ページ範囲:P.779 - P.781

文献購入ページに移動
Ⅰ.言葉の意味
 日和見感染はopportunistic infection (以下O.I.と略)の邦訳であり,その意味はopportunistまたはop—portunistic pathogenによる感染症,つまり「普通なら病原性をもたない弱毒菌や平素無害菌によって,抵抗力の低下した宿主にだけ感染症が惹起されること」である。opportunistという言葉の日本語訳は御都合主義老,ひより見主義者などとなっているから訳語としては間違っていないが,医学用語として適訳かどうかは問題である。通性感染facultative infectionという言葉が同義語として用いられるが,これも分りにくい言葉である。通性—facultativeとはたとえば嫌気性,好気性に対して通性というように「ひとつに限られずに,両方にわたって」の意味である。opportunisticもしくはfacultativeのいずれも,菌の病原性に関する形容であり,「状況や条件によって病原性があったりなかったりする」という意味であろう。
 O.I.という病態が臨床的に問題となり,その細菌学的実態が解明されたのは1960年代の終わりになってからであるから,これらの言葉が使われるようになったのは比較的最近のことといってよい。内外の医学辞典でも,1970年代後半以後のものにはこれらの術語が見られる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?