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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科37巻2号

1983年02月発行

文献概要

トピックス

ヒトのin vivo卵胞成熟とLH surge

著者: 田部井徹1

所属機関: 1自衛隊中央病院産婦人科

ページ範囲:P.114 - P.114

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 排卵の有無を確実に診断することは簡単でない。妊娠の成立は,排卵の存在を示す確証である。従来から排卵の有無や排卵日を臨床的に予測するには,基礎体温における高温相への移行や頸管粘液を観察して決定していたが,正確に予知することは困難なことが多い。体外受精の普及に伴い,体外受精が可能な卵を採取する必要が生じ,生体内における正確な排卵時刻や排卵に至るまでの卵の成熟過程を把握することが不可欠となってきた。ヒト原始卵胞からグラーフ卵胞を経て排卵に至る過程は,FSH,LHなどの下垂体性ゴナドトロピンやエストロゲンなどの作用を受けている。従って,月経周期とくに排卵を中心とした血中ホルモンの周期的変動に関する研究が主としてなされてきた。とくに血中LHの連続的な測定が可能となり,排卵との関連性が明らかになった。LH増加開始(LH surge)から排卵までは24〜36時間であり,LH peakからは16〜17時間とされ,LH surgeの重要性が指摘された1)。さらにTestartら2)は,LH上昇開始の方が,LH peakより排卵時刻と密接に関係すると述べた。これらの研究における排卵の証明は,ラパラスコピー(腹腔鏡)あるいは開腹時における直視下で肉眼的に黄体の形態を観察するか,黄体生検による組織所見によって決定した3)。一方,超音波検査により卵胞の描出が可能となり卵胞直径から排卵時刻の推定が試みられた.Bryceら4)やWetzelら5)は,超音波による排卵予知がLH,estradiolなどの内分泌的検査より有効であると指摘した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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