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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科37巻6号

1983年06月発行

指標

産科shockに対するheparin療法について

著者: 雨宮章1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.385 - P.388

文献概要

 妊婦では,妊娠による血液凝固性亢進の影響と共に,胎盤,羊水などthromboplastin様物質が多量に増加することによって,D.I.C.を起こしやすい状態にあると考えられている。産科shockの多くのものは,大出血による出血性shockで,この出血性shockにD.I.C.が続発することが時々みられる。この場合,shockはD.I.C.を促進し,D.I.C.はshockを増悪させるという悪循環を起こしやすく,患者は重篤な状態となる。ことに分娩時の大出血では,出血を起こしている広汎な創面が存在すること,一般に産科的D.I.C.は経過が非常に急激であることなどの理由で,抗凝固療法の適応が極めてむずかしい場合が多い。誤った抗凝固療法を行うことは,出血をむしろ増加させ,shockを増悪させて生命を危険にするおそれがある。したがって,産科shockの際のD.I.C.に対するheparin療法の適応となる症例は,かなり限られた疾患となり,またheparinの投与は慎重に考慮して決定する必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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