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その他産婦人科医療--明日への展開 ホルモンレセプター レセプター--その基礎
プロラクチン
著者: 長澤弘1
所属機関: 1明治大学農学部実験動物学研究室
ページ範囲:P.401 - P.407
文献購入ページに移動 1972〜1973年にBirkinshaw and FalconerおよびTurkington et al.が,妊娠中のマウス乳腺の形質膜にprolactin (Prl)に対するレセプター(PrlR)を発見して以来,乳腺,乳癌をはじめとして,肺,肝,腎,脳,下垂体,副腎,卵巣,精巣,前立腺(癌)その他の副性器,子宮などにおけるPrlRの存在が,各種の動物1)—いわゆる実験用動物のほか,魚類のTilapiaの腎2)においても—見出されている。さらに最近は,形質膜のみでなく,これらの器官の細胞質内1〜4),脳細胞の核内5),ウサギの乳汁中6)などにもPrlRの存在が認められている。
ホルモンのレセプターの測定に対して期待されるもののもっとも主なものは,そのホルモンに対する,標的器官(target organ)の反応性(感受性)を定量的に推定できるかどうかということであった。PrlRもその例外ではなかったが,現在のところ,その期待は,乳癌におけるエストロジェンレセプターのようには,必ずしも報いられていない。しかもPrlRに関する系統的な研究はすべて実験動物によるもので,ヒトにおいては,その存在が,乳癌をはじめとしていくつかの器官で認められているのみで,その生理的意義などについての研究は行われていない。このことは,ヒトの多くの器官におけるPrlの働きが必ずしも解明されていない現状を考えれば当然かもしれない。
ホルモンのレセプターの測定に対して期待されるもののもっとも主なものは,そのホルモンに対する,標的器官(target organ)の反応性(感受性)を定量的に推定できるかどうかということであった。PrlRもその例外ではなかったが,現在のところ,その期待は,乳癌におけるエストロジェンレセプターのようには,必ずしも報いられていない。しかもPrlRに関する系統的な研究はすべて実験動物によるもので,ヒトにおいては,その存在が,乳癌をはじめとしていくつかの器官で認められているのみで,その生理的意義などについての研究は行われていない。このことは,ヒトの多くの器官におけるPrlの働きが必ずしも解明されていない現状を考えれば当然かもしれない。
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