icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科37巻6号

1983年06月発行

産婦人科医療--明日への展開 ホルモンレセプター

レセプター--その基礎

エストロゲン

著者: 加藤順三1 三橋直樹1

所属機関: 1山梨医科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.409 - P.414

文献概要

 Karlsonの遺伝子活性説すなわちホルモンがgeneに直接作用すると考える説に続いて,1962年にJensenとJacobsonのレセプター説1)が発表された。トリチウム標識エストラジオールをラットに注射すると,子宮ではエストロゲンの選択的取り込みが見られることから,特異的なホルモンの取り込み機構の存在が推定され,ホルモン→レセプター→遺伝子という作用機構が提唱されたのである。次いでToftとGorskiらによってラット子宮可溶性分画より,9.5Sの沈降定数をもつタンパク性のエストロゲン結合巨大分子が分離された2,3)。その後同様の結合分子がエストロゲン標的組織である腟,卵管,乳腺,視床下部,下垂体前葉に,さらに卵巣黄体,睾丸の間質細胞に高濃度に分布していることが明らかになってきた。このような結合分子がレセプターと呼ばれるためには2つの基本的条件があると考えられる。第1に信号識別(signal discrimination)ならびに結合(bind—ing)であり,第2に結合に続くホルモンレセプター間の相互作用が標的細胞に特定生物反応をもたらす連鎖反応のきっかけを与えることである。しかしこの生物反応が起こることを確かめるのはなかなか困難であり,標的組織でのステロイド作用発現にステロイドとこの結合分子が結びつくことが密接に関連することが明らかになった今日では,レセプターの定義は次の条件であろう。1)結合特異性(specificity),2)きわめて高い結合親和性(high affinity),3)結合部位数(number of binding sites,NBS)は一定であること,4)組織に高濃度に含まれること(組織局在,tissue localization),さらにステロイドレセプターの場合には,5)生化学的に分離された,という条件が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら