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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科37巻6号

1983年06月発行

文献概要

トピックス

慢性無排卵症は子宮内膜癌になりやすい

著者: 広井正彦1

所属機関: 1山形大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.429 - P.429

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 卵巣ホルモンがその標的器官である子宮内膜や乳腺に癌を発生させると考えられる臨床的事実が多くある。すなわち,子宮内膜癌については更年期以後のestrogen長期投与1),ホルモン分泌性卵巣腫瘍,多嚢胞卵巣などの際に多く観察されている2)。一方,乳癌についても排卵による黄体形成が充分にみられない例に多くみられているなどである3)
 そこでCoulamら4)はMayo Clinicで多嚢胞卵巣,Stein-Leven—thal症候群,稀発月経,無月経,機能性子宮出血,多毛症,無排卵症,卵巣機能不全,月経不順など慢性無排卵症候群(chronic anovulation syndrome)などと診断された患者の1935年から1980年までのカルテより調査した。ここで慢性無排卵症と診断されるものは,(1)卵巣の組織所見,(2)卵巣の表面がカキのように被膜でおおわれている,(3)臨床上estrogenの持続産生で慢性無排卵状態を示すもので,子宮内膜の生検で周期性がなく増殖像のみを示すか,progesteroneの投与で消退出血を起こすか,血中estrogenが3ng/dl以上または尿中estrogenが20μg/24hours以上で月経間期が21日以内または38日以上で月経不順のものなどをさしている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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