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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科37巻8号

1983年08月発行

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トピックス

ヒトRelaxinに関する最近の知見

著者: 田部井徹1

所属機関: 1自衛隊中央病院産婦人科

ページ範囲:P.542 - P.542

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 1926年,Hisaw1)は,妊娠モルモットの骨盤恥骨結合靱帯を弛緩させる物質の存在を初めて記載し,後にRelaxinと命名した。当時,本物質の化学構造や生理作用は明確でなかったが,生物学的活性は,モルモットの恥骨結合弛緩作用を指標とした方法で測定していた。Relaxinは,モルモットのみでなくブタ,ネズミ,ウシ,ウサギなどの哺乳動物およびヒトの卵巣とくに妊娠黄体に多量に存在し,また,母体の血中濃度は,妊娠週数とともに増加し分娩後に急速な低下を示す。Relaxinの生理作用は,1)骨盤恥骨結合靱帯の弛緩,2)子宮筋の収縮抑制,および3)子宮頸管の拡張などであるが,生理的意義に関しては不明なことが多く,また動物の種属により多少異なることが知られている。
 近年,Polypcptideの化学分析法が進歩し,Relaxinに関する化学的性状や分子構造が漸次解明されてきた。1974年,Sherwood and O’Byrne2)は,ブタの妊娠黄体に多量に存在する本物質の純化に成功し,22種のアミノ酸を有するA鎖と30種のB鎖から成る分子量6,500のPeptide hor-moneであり,インシュリンと類似の化学構造を示すことが判明した。さらにブタ妊娠黄体から抽出したRelaxinは,Sephadex G-50およびイオン交換クロマトにより純化し,CM-B,CM-aおよびCM-a’の3種に分離された。Bryant3)131I-ブタrelaxinとウサギ抗体を用いたradioimmunoassayを開発したが,ヒトRelaxinとの交叉性がなく,ヒト濃度を測定することができなかった。最近,Sherwoodら4)は,125I-polytrosyl relaxinを用いてヒトrelaxinとcross reactivityを有することを証明し,ヒト血中および組織中濃度を測定することが可能なradioimmunoassay法を確立した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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