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明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 遺伝
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文献概要
染色体異常を伴う疾患は大きく分けて,先天性疾患に見られるものと,悪性腫瘍のように明らかに後天的に起こったものがあるといえよう。さらに,染色体異常には,染色体数の増減によるもの,染色体切断・融合による転座(構造異常)からなるものがあり,いずれもこれらは先天性疾患にも悪性腫瘍にも見られている。先天性の染色体異常疾患については,羊水診断の確立により,また,悪性腫瘍についても,末梢血,骨髄,腫瘍組織の染色体分析法の発達により,適確な診断が可能になっているといえる。しかしながら,これらの染色体異常が,ヒトの体内でどのようにして起こったものかについては,尚,不明瞭な点が多いが,いずれにしても染色体異常が起きるという点では共通現象であろう。先天性疾患における染色体異常は,配偶子形成過程,もしくは,受精後でも比較的胎生早期に起こっているのに反し,悪性腫瘍では,出生後の体細胞で主として染色体異常が起こったものといえる。染色体異常の原因としては,これまでも放射線,環境変異原物質・ウイルスなどが知られており,また,癌化にも環境因子のかかわりが強く示唆されてきており,染色体異常の発生メカニズムを解明することは,これらの疾患の予防という意味でも非常に重要といえよう。
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