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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科38巻10号

1984年10月発行

原著

HBウイルスの母児間感染とその予防—HBIG単独療法の効果と限界

著者: 田川博之1 白井清夫2

所属機関: 1長崎市立市民病院産婦人科 2長崎市立市民病院小児科

ページ範囲:P.791 - P.796

文献概要

 HBウイルスの母児間感染を予防する方法として,抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)とHBワクチンの併用療法が現在おもに治験されているが,本稿ではHBIG単独療法について報告する。HBIGを使用しないいわゆる対照例では,HBe抗原陽性の母から生まれた児は100%感染し,80%がキャリアーになった。HBe抗原陰性の母から生まれた児にはキャリアーの成立を見なかった。HBIG投与対象はHBe抗原陽性の母から生まれた児に限定し,臍帯血HBs抗原が陰性であることを確かめて,生後24時間以内に0.16ml/kgまたは1.0ml/bodyを筋注した。原則として生後3カ月,6カ月,9カ月に追加投与し,生後2年以下追跡した。キャリアー発生は12.9%と著しく減少した。自ら能動免疫を獲得した例が71%,HBs抗原,HBs抗体共に陰性のままの例が16.1%であった。HBワクチンを併用すればさらに成績は向上するものと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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