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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科38巻11号

1984年11月発行

文献概要

明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 胎盤

ヒト胎盤形態学—環境要因による差異

著者: 相馬広明1

所属機関: 1東京医科大学産婦人科教室

ページ範囲:P.831 - P.836

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 胎盤の大きさは子宮内での種々の環境要因によって影響される。胎盤重量は娩出後の大きさを決める唯一の小さなパラメーターである。本年7月の日本新生児学会の発表演題の中にも,中村博士(国立京都病院)が成書にのっている胎盤重量は卵膜や臍帯を含めた重さであり,真の胎盤重量とはいえないことを強調した。
 この点については,既に私どもは機会ある毎に胎盤重量の測定には,卵膜や臍帯の検査後これをとり除いた胎盤実質を測定することを記しており,拙著「胎盤のみかた」にも詳しく記載してある(相馬ら)。まず胎盤の形態を観察するためには,産科医が自らの手で胎盤を検査することが大切である。その意味でも拙著をお読みいただきたい。同時に胎盤は面積を測らねばならない。その結果では私どもの教室での平均胎盤重量は432±79g,平均面積655±128cm3,平均児体重3142±392gとなる。そこでいろいろな環境因子のうち,母体要因として妊娠中毒症,高血圧,糖尿病,胎児赤芽球症,双胎などの妊娠合併症が胎児—胎盤系の発育に支障を来すことは周知のことであるが,そのほか妊娠の栄養,貧血,感染などのほか,妊卵の着床部位の異常,社会生活環境,喫煙とか高地生活などhypoxiaを起こすような状態もまた胎児—胎盤系発育に影響を与える。しかし胎盤の発育を規制するものは何かという質問には,誰しもが簡単には答えられないと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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