icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科38巻11号

1984年11月発行

文献概要

症例

超音波により妊娠早期に診断し得た心臓脱の1例

著者: 加賀山哲夫1 岩間洋一1 鴨志田和久1 金子義晴1

所属機関: 1日立製作所日立総合病院産婦人科

ページ範囲:P.865 - P.868

文献購入ページに移動
 心臓脱とは,本来心臓のあるべき縦隔洞より心臓が逸脱して体外または胸腔外に存在するものをいい,稀な先天性心臓奇形である。我々は,妊娠早期に超音波断層法による胎児スクリーニング検査を施行した際,心臓脱を合併した無脳児と診断し得た症例を経験したので報告する。
 妊娠16週では,児頭は不明であり,児体部頭側に躯幹と接した直径19mmの嚢胞状echoを認めた。この時には,心臓は?幹内で拍動していた。児頭の奇形を疑い,妊娠20週に再度超音波検査施行。児頭の輪郭は不鮮明であり,児頭の横断面でmidline echoが確認出来ず,無脳児と診断した。また胎児躯幹外に拍動する心臓を検出し,胸郭へ連続する大動脈の像より,心臓脱と診断した。本症例は妊娠16週から20週の間に心臓脱が進行し,妊娠16週に認められた嚢胞内に心臓が脱出したと考えられ,心臓脱の発生時期,発生過程を追跡し得た点,貴重な症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?