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明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 胎児--その自立と依存
胎児循環機能の調節
著者: 池ノ上克1 茨聡1
所属機関: 1鹿児島市立病院周産期医療センター
ページ範囲:P.915 - P.921
文献購入ページに移動 心臓から駆出された胎児血液は胎盤をへてふたたび胎児循環へと流入する。この一連の特徴ある循環の中で胎児心臓はポンプとしての役割を果たしている。胎児循環系の特徴としてhigh flow・低血管抵抗,受動的な性格の強い臍帯および胎盤循環の存在などがあげられる。ヒト胎児におけるこれら循環の詳細は,方法論的な限界もあり,必ずしも明らかにされていない。多くは羊・山羊,サルなどの実験動物を用いて得られた結果をヒト胎児に演繹する方法がとられている。従れの胎児情報は,そのほとんどが麻酔や手術の影響下にあるacute prepa—rationによって得られたものが多く,必ずしも生理的状態の胎児・胎盤系に基づいたものとは言えなかった。
1954年Meschia1)らによって,羊や山羊胎児を用いたchronic instrumentationの技術が紹介され,つづいてDawes2),Assali3),Rudolf4),Quilligan5)などにより相次いで本法の胎児生理学研究上の重要性が認識されるに至り,現在では胎児実験のほとんどがchronic prepara—tion下に行われるようになった。
1954年Meschia1)らによって,羊や山羊胎児を用いたchronic instrumentationの技術が紹介され,つづいてDawes2),Assali3),Rudolf4),Quilligan5)などにより相次いで本法の胎児生理学研究上の重要性が認識されるに至り,現在では胎児実験のほとんどがchronic prepara—tion下に行われるようになった。
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