文献詳細
明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 胎児--その自立と依存
Topics
胎児発育と甲状腺ホルモン末梢代謝
著者: 杉本充弘12 水野正彦2 坂元正一3
所属機関: 1日立総合病院産婦人科 2東京大学産婦人科 3東京女子医大産婦人科
ページ範囲:P.939 - P.943
文献概要
T4の末梢代謝は主として脱ヨード反応であり,outerringの5'—脱ヨード反応によりT3を生じ,inner ringの5—脱ヨード反応により生物活性のない3,3',5'—トリヨードサイロニン(reverse T3,rT3)を産生する(図1)。胎児では母体に比較し,強い甲状腺ホルモン作用をもつT3の血中濃度は極めて低く,生物学的活性のないrT3の血中濃度は著しく高い3,4)。この事実から,胎児臓器でのT4脱ヨード反応の機序は成人とは著しく異なると推測される。
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