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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科38巻2号

1984年02月発行

トピックス

単一クローン螢光抗体による性器ヘルペス症の迅速診断

著者: 田部井徹1

所属機関: 1自衛隊中央病院産婦人科

ページ範囲:P.101 - P.101

文献概要

 性器ヘルペス感染症は単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる疾患であり,sexually transmitteddisease (STD)として注目されている。妊娠後半期の妊婦が本症に罹患すると新生児ヘルペス症を発生させる危険がある。新生児の全身ヘルペス感染症は垂直感染ばかりでなく水平感染により起こり,現在有効な治療法がなく極めて予後が悪くときに致命的なことがある。したがって分娩直前の妊婦が性器ヘルペス症に罹患した場合には垂直感染の危険をさけるために経腹的な帝王切開術を行い,児を娩出させた方がよいとされている1)。日常臨床上,妊婦の性器ヘルペス症を迅速にかつ正確に診断することが望まれる。
 一般に,性器ヘルペス症は特徴的な局所病変から臨床的に診断することが多い2)。しかし,本症の確定診断は病巣からの単純ヘルペスウイルスの分離同定によるが,長時間を要し技術的な問題もある。他の診断法としては,電顕によりウイルス粒子を検出するか病理組織学的に核内封入体を有する多核巨細胞を確認する方法があるが,単純ヘルペスウイルスのみによる特異的な病変でなく,また充分な検出率でない。一方,単純ヘルペスウイルスにより産生される抗体を検出する血清学的診断は,極めて有用であるが,急性型のときには病勢極期の抗体価が陰性を示し,臨床的に役立たないことがある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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