文献詳細
文献概要
明日への展開 ADVANCED TECHNOLOGY
診療技術の歩み
著者: 小林隆12
所属機関: 1日本赤十字社医療センター 2東大
ページ範囲:P.215 - P.216
文献購入ページに移動 丁度半世紀前(昭和8年)に臨床母教室の門をくぐった筆者にとってはこの増大特集号のAdvanced Techno—logy群を一瞥しただけでもそのめざましい進歩に感心し,今昔の感一入のものがある。これらの歩みを総論的に述べよとの課題であるが難しい注文で,話せばおのずから昔と今との懸隔ぶりを説明することになって昔物語りになってしまうおそれがある。編集企画の狙いが歴史にあるとは思えないので,むしろ筆者としては,高度な技術をめぐる問題点のいくつかを指摘して責めを果たしたいと思う。
さて,この特集号のどの項目をとりあげても診療テクノロジーの最先端を行くものばかりであるが,中でもNuclear Magnetic Resonance:NMRやモノクロナール抗体の応用,新しい腫瘍マーカーなどは一般化,実用化の立場から見れば,まだ予告編に属するといえよう。またマイクロサージェリーの導入も漸く緒につき,卵管機能の再建にも希望がもてるようになった。それが絶望的であるような場合でもIVFが成功したので,これからは卵管ダメージのため絶体不妊を甘受しなければならなかったカプルも子宝に恵まれるとは何という大きな恩恵であろう。IVFの成功例が次々と登場すればニュースヴァリューは逓減して人権騒ぎも自然消滅することになる。一方,超音波診断法の進歩も画期的で,その電子スキャン法は胎芽の動きや心拍動をも捉えてたちどころに切迫流産の予後が決定される今日である。
さて,この特集号のどの項目をとりあげても診療テクノロジーの最先端を行くものばかりであるが,中でもNuclear Magnetic Resonance:NMRやモノクロナール抗体の応用,新しい腫瘍マーカーなどは一般化,実用化の立場から見れば,まだ予告編に属するといえよう。またマイクロサージェリーの導入も漸く緒につき,卵管機能の再建にも希望がもてるようになった。それが絶望的であるような場合でもIVFが成功したので,これからは卵管ダメージのため絶体不妊を甘受しなければならなかったカプルも子宝に恵まれるとは何という大きな恩恵であろう。IVFの成功例が次々と登場すればニュースヴァリューは逓減して人権騒ぎも自然消滅することになる。一方,超音波診断法の進歩も画期的で,その電子スキャン法は胎芽の動きや心拍動をも捉えてたちどころに切迫流産の予後が決定される今日である。
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