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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科38巻4号

1984年04月発行

明日への展開 ADVANCED TECHNOLOGY

I.診断・検査技術

ハムスターテスト

著者: 斉藤晃1 星和彦1 鈴木雅洲1

所属機関: 1東北大学医学部産科学婦人科学教室

ページ範囲:P.217 - P.221

文献概要

 射精された精子は受精能獲得(capacitation)をおこしながら雌性性器内を上向し,卵子に接近して先体反応(acrosome reaction)をおこし透明帯を通過,卵実質内に侵入して雄性前核を形成する1)。この受精現象の過程からみても,男性の受精能力を,精子濃度・運動率・奇形率などによる精液検査のみで判定することには疑問が残る。事実,Zukermanら2)の集計によれば,精子濃度が1×107/ml以上であれば,精液検査の各項目で,妊孕性のある男性と不妊男性との間に有意な差を認めないと報告されているし,精液所見が全て基準値を満たしているにもかかわらず不妊であるケースは日常臨床においてよく遭遇することである。男性の妊孕力を確かめるには,in vitroまたはin vivoで人卵に受精可能かどうかを検査するのが一番確実な方法であり,オーストラリアのモナシュ大学では,腹腔鏡下に採取した成熟ヒト卵と夫精子との体外受精を行って,卵機能・精子機能を実際に検討している。しかし,卵採取の困難性に加え人道的な見地から一般的な不妊検査となるには無理があることは否めない。そこで,他の哺乳類の卵子で代用できないかという考えが起こってくるが,異種間の受精はその特異性から非常に困難であることがわかっていた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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