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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科38巻4号

1984年04月発行

明日への展開 ADVANCED TECHNOLOGY

III.腫瘍

卵巣癌の免疫化学療法

著者: 加藤俊1 西村治夫1 浜井潤二1 薬師寺道明1

所属機関: 1久留米大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.302 - P.307

文献概要

 近年,急速な進歩を遂げてきた免疫学の恩恵により,生体の抵抗力が比較的正確に把握できるようになった。その結果,癌患者では免疫能とくに細胞性免疫能の低下が認められ,癌の進行とともにその程度は顕著となることが知られている。また免疫能の多寡によって癌患者の予後が大きく左右されることも分ってきている。卵巣癌患者においても例外ではないが,本疾患のほとんどが進行期癌であるため,その多くが免疫能の低下を来していることが考えられる。
 一方,このような患者に対して,生体の抵抗力を障害すると考えられる放射線療法や化学療法がその進歩に伴って主治療として選択されざるを得ないのが現状である。換言すると,互いに相矛盾する生体の抵抗力を弱める治療法が行われる場合が多いといえよう。したがって最近,免疫能の低下を補い制癌効果を高めようとする試み,いわゆる免疫化学療法が注目され,現在なお新しい分野であるが今後の展開が期待される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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