icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科38巻4号

1984年04月発行

明日への展開 ADVANCED TECHNOLOGY

IV.胎児・新生児

NSTと胎動

著者: 前田一雄1 日高透1 太田誠1 加藤一雄1 辰村正人1

所属機関: 1鳥取大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.323 - P.329

文献概要

 NSTは,妊娠中の胎児心拍数図によるノンストレステスト(non-stress test)であり,非侵襲的な胎児検査法として最近著しく発達し普及している。一方,胎動は,本来は母体の自覚胎動を意味し,非常に古くから妊娠徴候にあげられ,歴史的に重要であるが,最近ではほんとうの意味の胎動,つまり子宮内における胎児の運動の客観的検討がとりあげられるようになった。これは,超音波診断装置,ことに実時間の電子スキャン装置の発達によるものであり,advanced technologyの先端的発展といえるであろう。
 NSTでは,胎児心拍数図の諸成分が検討対象になり,心拍数基線の異常,一過性徐脈,細変動,sinusoidalpatternなどが検討されるが,NSTがreactiveか,non-reactiveかの判別には,一過性頻脈の存在が指標になっている。一過性頻脈(acceleration)は,胎児の運動すなわち胎動に伴って発生するものと考えられていて,ここでNSTと胎動が関連してくるのであるが,両者の関係ははっきりしているようで,しかもそれほど明瞭でない。心拍数は連続的かつ定量的に捉えられているのに,胎動の方は電子スキャンの観察によるほかに適当な方法がなく,連続記録も不可能であったからである。胎動記録には最近著者の開発した超音波ドプラ法があり,今後の検討がまたれるところである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら