icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科38巻4号

1984年04月発行

文献概要

明日への展開 ADVANCED TECHNOLOGY V.治療技術

マイクロサージェリー—特に術後癒着防止法を中心に

著者: 高木繁夫1 長田尚夫1 中村陽行1 塚本剛1 小平博1 津端捷夫1

所属機関: 1日本大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.367 - P.375

文献購入ページに移動
 女性不妊症の中では卵管因子によるものが約40%を占め最も多い。そのため卵管性不妊症の治療法として今日in vitro fertilisation & embryo transfer (以下IVF &ETと略す)が脚光を浴びてきている。一方,外科的治療法としてのマイクロサージェリー(図1)による卵管形成術の歴史はIVF & ETよりもやや古く,卵管閉塞に対する治療法としては本邦でも既に数年前より実施されている。いま卵管性不妊の治療としてこの2つの方法を比較してみると,現時点においては治療成績の面からはマイクロサージェリーの方が結果はよいがそれとてなお必ずしも満足できるものではない。しかしマイクロサージェリーによる卵管形成術では,その妊娠様式はあくまでも自然の妊娠形式をとるため,IVF & ETによっておこりうる倫理的,社会的問題よりの批判や非難もなく,また懸念されている染色体異常等の発生もないので卵管性不妊症の治療法としては最も理想的な治療手段であるといえる。したがって我々は,卵管性不妊症に対してはまずマイクロサージェリーによって卵管機能の回復をはかり,常に自然妊娠が成立することを期待している。そしてこの卵管形成術によってなお妊娠が成立しなかった症例においてのみ初めてIVF & ETを実施することもまたやむをえない方法であろうと考えている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?