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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科38巻6号

1984年06月発行

グラフ 胎児奇形の映像診断

妊娠早期に診断し得た心臓脱の1例

著者: 加賀山哲夫1 岩間洋一1 鴨志田和久1 金子義晴1

所属機関: 1日立製作所日立総合病院産婦人科

ページ範囲:P.470 - P.472

文献概要

 心臓脱とは,本来心臓のあるべき縦隔洞より心臓が逸脱して,体外あるいは胸腔外に存在する場合をいい,稀な先天性心臓奇形である。
 症例は,25歳,3回経妊3回経産の妊婦。20歳で3,380gの男児,22歳で3,590gの女児,23歳で3,780gの女児(いずれも妊娠40週)を分娩したが,異常を認めていない。月経歴は,初経13歳,30日周期,整,6日間持続,月経量は中等量で経時障害はない。昭和56年12月25日より6日間を最終月経として妊娠。昭和57年2月23日(妊娠8週3日)に当科初診。4月20日(妊娠16週4日)に胎児スクリーニング検査として,超音波電子スキャンを施行した際,児頭は不明であり,児体部頭側に直径19mmの嚢胞状echoを認めた。この時には心臓は?幹内で拍動していた(図1)。児頭の奇形を疑い,妊娠20週に再度検査施行。児頭輪郭の不鮮明,Midline echoの欠如の所見を得,無脳児と診断した(図2)。また,胎児の胸郭内に心臓を認めることが出来ず,胎児?幹外に拍動する心臓を検出し(図3,4,5),胸郭へ連続する大動脈の像も得られたため(図6)心臓脱と診断した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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