文献詳細
明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 子宮
Ⅱ.内膜
文献概要
子宮内膜(内膜と略)は子宮の内面を被う粘膜組織であり,卵巣ステロイドのtarget tissueとして増殖,分化(分泌)を周期的に繰り返している。この特性は哺乳動物にほぼ共通して見られるが,ヒトを含む最も高等な霊長類では,分化した内膜は受精卵着床が起こらないと崩壊剥脱し,出血する。これは,内膜海綿層の血管系(コイル小動脈,静脈洞)の特異構造によるものであり(Markee,1948;Bartelmez,1957),黄体の衰退が関与している。自他覚的には月経として認識されるが,これは高等な霊長類だけにみられる大きな特性である。
内膜のもうひとつの生物学的特徴は異所性に発育しうるということである。生物学の常識として臓器あるいは組織は発育,増殖の限度を心得ており,(contact inhibi—tion),他の領域を侵すことはない。この規制の歯止めがきかなくなったのが悪性腫瘍である。ところが内膜あるいはその類似組繊はエストロゲン刺激に呼応して異所性に発育し,浸潤性に増殖しうる性格をもっている。これがエンドメトリオージスであり,benign cancerともいわれる所以である(Greenblatt,1976)。
内膜のもうひとつの生物学的特徴は異所性に発育しうるということである。生物学の常識として臓器あるいは組織は発育,増殖の限度を心得ており,(contact inhibi—tion),他の領域を侵すことはない。この規制の歯止めがきかなくなったのが悪性腫瘍である。ところが内膜あるいはその類似組繊はエストロゲン刺激に呼応して異所性に発育し,浸潤性に増殖しうる性格をもっている。これがエンドメトリオージスであり,benign cancerともいわれる所以である(Greenblatt,1976)。
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