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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科38巻7号

1984年07月発行

明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 乳腺

Topics

乳汁分泌とoxytocin

著者: 牧野恒久1 永井孝1 菅原正人1 飯塚理八1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.599 - P.601

文献概要

I.ヒト泌乳のメカニズム
 臨床上,泌乳と称する産褥の母体現象は,乳汁の産成相とその射出相の2相に内分泌的には大別される。後者の射乳と呼ばれる現象はヒトの場合,主として下垂体後葉のoxytocinの統御下にあり,前者の乳汁産成は主として下垂体前葉のprolactinの支配下にあることは古くから知られている。
 射乳現象は,新生児の哺乳刺激により瞬発的に神経反射によって下垂体後葉よりoxytocinの血中放出を促すことにより始まる。具体的には新生児によって乳房の乳頭・乳暈に知覚刺激が加えられると,その刺激は求心性に脊髄を介して視床下部の旁室核などを神経的に亢奮させる。この結果,いわゆる神経分泌が亢進して下垂体後葉からoxytocinが血中へ放出され,乳腺胞を包んでいる筋上皮を収縮させ,腺腔内にすでに産成されていた乳汁を乳管から乳房外へ射出させることになる。この射乳現象は乳房と視床下部の間に一つの反射経路が確立したあとは,新生児から乳房への直接刺激のほかに,条件づけが成された環境刺激たとえば定期的な授乳時間,あるいは新生児に単に接するのみでもみられる場合がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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